赤木凡豚の考察レポート

しがないSF好きな暇人の赤木凡豚です。各種考察や感想、思い付いたことなんかをつらつらと記録します

夢日記4

こんな夢を見た。


 私は気付くと雨がしとしとと降る知らない町を歩いていた。川にかかる錆び付いた古い橋を渡ると、薄暗い柳の下に一件の蕎麦屋が見えた。不思議なことに辺りを見回しても他には何もない。無限に長く広い地平線があるばかりだ。目の前には蛇の目傘を差した男女がいて、二人はその中に入った。他になにもないのだから、することのない私は自然と彼らを観察していた。二人が出てきたらその様子を見て蕎麦屋の良し悪しを見極めようとか考えていた。

 しばらくして女性だけが出てきて濃い霧に包まれた道を歩いていった。男性は出てこない。妙だ。気掛かりだ。だが蕎麦屋の中からは人の気配がしない。確かに二人が入店したように見えたが、もしかしたら一人だったのを見間違えたのかもしれない。もしくは店内で一人になってしまったのかもしれない。人が増えたり減ったりすることも確かにしばしばあるらしい。このままここにいても仕方ないので、私は先程出てきた女を追いかけてみることにした。知らない町なのだから勝手を知っていそうな人を追いかけるのは当然だろう。霧に丸のみにされそうな彼女の後を私は急いだ。

 少し歩くと見たこともない遊園地の入場口についた。見たことがないのは当たり前だ。だがふと、私は以前ここに来たことがあると感じた。もちろんそんなわけはない。遊園地から出てきた親子が楽しそうに話しながら私の横を過ぎ去っていった。その時右手に違和感を覚えた。何かを握っている。ふと右手を見ると、私は気付かないうちに小さい子供を連れていた。その子は遊園地に入りたがっている。仕方なくその子に連れられて遊園地に入った。振り返ると門には出口と書いてあった。まあそんなこともあるかと深く考えないで私は子供に引っ張られながら中へ中へ進んでいった。遊園地は薄暗く、あちこちに給食のお盆みたいなものが積んであった。そういえば遊園地なのに入場口ですれ違った親子以外に人を見かけないのはなぜだろうと私は考えた。入場口の近くに差し掛かった時、私が周囲を見回すとあの親子がまだ入場口にいた。しかもその人たちは入場口で立ち止まってなぜかこっちをずっと見つめている。だがはっきりと顔が見えるわけではない。私は眼鏡をつけているのに裸眼より目が悪く、何もかもがぼんやりとしか見えないからだ。ところが私には目の前の物もはっきり見えないのに、なぜか彼らに見られてることだけはわかった。振り返って前を見たとき、お盆が積んであった場所には紐を引いてプロペラを飛ばすおもちゃが山積みされていた。誰もいないのだからと一つ拝借して試しに遊んでみたが、プロペラはストンと地面に落ちて全く飛ばない。悔しくて投げ捨てると、スマホくらい大きさをした黄色い牛の様なものに当たった。それはおもちゃが当たると首を人形みたいにグニャリと横へ曲げた。状況がわからずに唖然としていると、それは跳ねながらこちらに迫ってきた。見たところ、上半身は牛、下半身は蛙、腹から腰は風船で出来ているようだった。気味が悪くなって一緒にいた子供を引いて入場口から外に出ようとしたところ、すぐ側にあったはずの入場口は遥か彼方にあり、いくら走っても走っても辿り着かなかった。「ぎゃああああああ」。人の声だ!私は声の方を見た。そこでは本当に人が殺されるヒーローショーが上演されていた。異形の怪人が無表情な観客を殺戮している情景を横目に走り続けた。そして気づくと現実の私の部屋に戻っていた。

 

 ところがそこはまだ現実ではなかった。確かに自分の部屋なのだが、例の黄色い牛みたいなのがすぐ側にいた。「ぐもーう、ぐもーう」と鳴きながら動けない私に迫ってきた。突き刺す痛みが走った。それが脇腹に食らい付いたのだ。痛い。

 

そう感じた直後に本当に目が覚めた。