赤木凡豚の考察レポート

しがないSF好きな暇人の赤木凡豚です。各種考察や感想、思い付いたことなんかをつらつらと記録します

映画『スカイクロラ』の考察1

 考察するよって書いたからには何か考察しなきゃなぁと思ったので、とりあえず『スカイクロラ』の考察をつらつらと書いていきます。ネタバレは普通にあります。ご注意下さい。

 本来なら小説も合わせてなかなかの文量がある『スカイクロラ』シリーズを、尺も考えて無理矢理映画にまとめた映画『スカイクロラ』は、それだけ見ると小説と全く異なる見方が出来てしまいます。これを良しとするかどうかは人によりますね。私はアリだとおもってます。面白いし、脚本家の解釈が垣間見れて楽しいですしね。

 たとえば映画『スカイクロラ』を見ていると、トキノがあまりにもものを知りすぎていることが引っ掛かってきます。小説を読むと大した問題ではなくなってしまうのですが、ここではあえて小説を忘れ去って映画『スカイクロラ』を一つの独立した作品として見ていきましょう(そうしないとトキノの掘り下げ甲斐が減ってしまうから)。

 主人公のカンナミら「キルドレ」と呼ばれる人々は戦死しない限り永遠に若さを保ち続けます。そして戦闘で死ぬと外見上類似したクローンが派遣されてきます。カンナミを見た登場人物達の反応やユダガワ戦死後に配属されたアイハラの描写からも明らかです。

 一方で記憶についてははっきりと描写されていません。カンナミがミートパイや娼館について「前にも食べた/来た気がする」と発言していることから、①先代のキルドレの記憶がうっすら残っている、もしくは②全てのキルドレには共通したベースとなる記憶がインプットされているという2通りの解釈が考えられます。私はパイロットとしての技術の継承やティーチャの絶対性を考えるに後者が有力と考えます。もし前者なら早晩ティーチャの攻略法が見つかってしまいますから。したがって彼らは早期に死ぬことを前提とし、記憶も含めた量産型促成兵士としてパッケージされており、完成したキルドレは基本的に作中と同じ人生を踏襲して同じように死んでいくと考えられます。

 ここでトキノの異常性が明らかとなるわけですが、長くなるので次に回します。